スペイン/バスクの作曲家セバスティアン・イラディエル(1809-1865)による歌曲。
《ターンタ・タッタ》という特徴的なリズムは“ハバネラ”と呼ばれるキューバの民族舞曲のリズム様式です。19世紀後半、この曲をきっかけにハバネラは世界的に流行しました。
ビゼーの『カルメン』(1875年初演)の中で歌われるアリア「ハバネラ」(恋は野の鳥)は、実はイラディエル作曲のハバネラ曲「El Arreglito」のメロディーであることが知られています。ビゼーはイラディエルの曲を作者不詳のスペイン民謡と思い込んで、自分の作品の一部に転用してしまったのだそうです。
ハバネラはアルゼンチンに伝わってタンゴのルーツにもなりました。
現代のポピュラー音楽でもハバネラ調に作られたものがあります。
1937年に中国の歌手・周璇が歌った「何日君再来」はアコーディオン1台による伴奏で、ハバネラのリズムとチャイナメロディーが素敵に融合しています。
1977年(昭和52年)のジャニス・イアンの曲「Will You Dance?」も明快なハバネラ調に作られています。同年のTBSドラマ『岸辺のアルバム』の主題歌として記憶に残っている方も多いかもしれません。