ギター譜の最初に、6ạ Cuerda en Re とか 6a en Re と書かれているものがあります。これが《6弦の音を(Eを1音下げて)Dに合わせる》変則チューニングの指示だということ自体は、ご存知の方も多いと思います。
けれど、この6の後に小さな「a」みたいな書き方、あまり見慣れないものですよね。
こういう表記はスペイン語で書かれたクラシックギターの譜に見られます。英語や日本語のポップス系の譜の場合は ⑥=D とか Drop D Tunning 等と書かれていることが多いです。
スペイン語では音名を Do Re Mi Fa Sol… と表すので、Re は D音を示しています。そしてこの「6a」みたいな見慣れない書き方、これはスペイン語での序数詞の省略表記なのです。つまり意味としては「第6番目(の弦)」を指しています。
英語で「第1の〜、第2の〜」という序数詞 first second third fourth fifth sixth を 1st 2nd 3rd 4th… と略して記しますよね。これのスペイン語版だと考えてください。
スペイン語には男性形/女性形がありますから、序数詞は男性形なら primero, segundo, tercero, cuarto, quinto, sexto、女性形なら primera, segunda, tercera, cuarta, quinta, sexta と語尾が異なるので、その省略表記は序数と性(o/a)を表示して 1o 2o 3o…(男性形)、1a 2a 3a…(女声形)というふうに表すのです。
「弦」を意味するスペイン語 cuerda(クエルダ)は女声名詞なので、序数詞もそれにあわせて女性形を使います。つまり 6a は「第6の〜」を意味する sexta(セスタ)の省略表記。 6a Cuerda en Re は「第6弦をDに」と書かれているわけです。
読み方は《セスタ・クエルダ・エン・レ》です。「クエルダ」と「レ」はスペイン語っぽく巻き舌で。