─ げに小春日ののどけしや 返り咲きの花も見ゆ(文部省唱歌「冬景色」より)
12月の第1週までは、この歌詞のような日和も時折ありましたが、今週に入ると気温がまた一段階下がり、いよいよ本格的な冬の気配が。そして歌声喫茶開催当日の12月12日は、東京もまぎれもない冬の冷たい空気に包まれる一日となりました。
いつものように準備体操からスタート。寒さで縮こまった体を肩回しとギューストン(肩上げからの脱力)でほぐしていきます。チャコチコ体操のピアノBGMは配信視聴者の方にもおなじみですね。
続いては発声練習です。低い声から高い声、なめらかにドレミファソファミレド、そして歯切れ良くスタッカートも。発声練習とは言っても、練習というよりノドの調子を確認するような気持ちで声を出してみるのが良いと思います。
いよいよ冬の歌声喫茶、そして2024年を締めくくる歌声喫茶の開演です。
1曲目は、冒頭でも歌詞を引用した文部省唱歌、晩秋から初冬へとうつろう郊外の情景を詠じる「冬景色」です。こういう唱歌は年齢を重ねるほどにその味わいを真に感じとることができるものだと思います。
「寒い朝」にも実感がこもります。「いじけていないで」という歌詞がありますが、寒さに肩を丸めていると本当に気持ちがいじけてくるものです。真冬の寒さはまだまだこれから。肩甲骨からグッと背筋を伸ばして、心の内側から寒さに打ち勝っていかねばなりません。
冬、そして年の瀬には演歌がよく似合います。津軽海峡冬景色、雪國、北の宿から、越冬つばめ etc… 本来は皆で声を合わせて歌う歌ではないのですが、やってみるとこれがなんとも気持ちがいいのです。今回は、そのような冬の演歌の中でも人気の高い「さざんかの宿」をとりあげ、各コーラスの最後は《さざん〜かの〜や〜ど〜〜》とたっぷりと心ゆくまで伸ばしていただきました。
童謡「ペチカ」を歌っていると、歌詞に描かれる情景そのままに、みんなで暖かな火を囲んでいるような気持ちになってきます。
火を囲むといえば、19世紀中後期によく使われた英語で《ファイヤーサイド fireside》という語があります。火(暖炉、囲炉裏)のそばという言葉通りの意味のみならず、そこから語義が広がり、“あたたかな家庭”とか“リラックスした格式ばらない団らん”を示す表現として使われることもあったようです。家庭的でリラックスした格式ばらない団らん、それは理想的な歌声喫茶の姿そのものではありませんか。
前半もあとひと息。「銀色の道」では険しい坂道さながら1コーラスごとに転調していきます。「あの鐘を鳴らすのはあなた」は静から動へと盛り上がり、往年の紅白歌合戦の和田アキ子さんの歌唱姿も心に浮かんできます。前半ラストは文部省唱歌「冬の夜」。一家団らん=ファイヤーサイドの唱歌を歌い、ここでいったん小休止。
後半はクリスマスソングコーナーから。毎年のこの季節の風物詩「赤鼻のトナカイ」では、チコ扮するトナカイを会場のみんなで指さすのが恒例。手作りのツノと赤鼻は、チコが昨夜しっかりと点検して破損などがないことを確認済みです。今年も「役に立つ」ことができました!
にぎやかなひとときの後は、一転クリスマスキャロル「荒野の果てに」で静謐で清らかな時間が流れます。「ホワイトクリスマス」の英語歌詞を口ずさみながら、厳かな雰囲気を味わいました。
クリスマスが過ぎると一週間足らずで今年も終わり。チャコがお話ししていましたように、今年は昭和に換算すると昭和99年。まもなく昭和99年が暮れていき、昭和100年の年がはじまるのですね。来年は昭和の名曲、名歌手にあらためて思いをはせる一年になりそうです。
そんな昭和・戦前の青春讃歌「新雪」の軽快なタンゴのリズムで、いよいよ冬の歌声喫茶も佳境です。「虹と雪のバラード」は札幌オリンピックまぢかの昭和46年の紅白歌合戦でも歌われた名曲。そして、その紅白で司会をつとめた水前寺清子さんの「三百六十五歩のマーチ」でワンツー! ワンツー!
「365歩のうち、今日(12月12日)は何歩まで来たんでしょうね?」の問いに、お客さまから「346歩!」とのすばやいお答えもいただきました。
ラストソングは「きよしこの夜」。英語〜日本語で歌い、最後は全員で「メリークリスマス!!」と声をそろえて気持ちもひとつに。きよらかな心持ちで今年の歌声喫茶は幕を閉じました。
次回の開催は春、桜が見頃を迎えている頃。
ご予約の詳細につきましてはこちらのページをご確認ください。
【お知らせ】
チャコ&チコの歌声喫茶で取材協力をいたしました『NHKラジオ深夜便』の月1コーナー『夜ばなし歌声喫茶』が12月17日(火)/ 1月21日(火)午後11時台に放送予定です。
歌手/芸人のタブレット純さんが案内役となり、番組ディレクターとともに歌声喫茶で愛唱されてきた名曲の魅力に迫る番組です。テーマとなる1曲についての考察はもちろん、リスナーが一緒に口づさんで楽しめるコーナーや、歌声喫茶の合唱の空気感も伝えてくれます。ぜひお聴きください。