三浦洸一さんは東洋音楽学校(現・東京音楽大学)声楽科を卒業後、作曲家の𠮷田正氏に師事。「弁天小僧」「東京の人」「踊子」など数多くのヒット曲があります。
「落葉しぐれ」はデビュー年である昭和28年9月に発表しヒットした曲です。同年5月のデビュー曲「さすらいの恋唄」も歌詞の主人公は流しのギター弾きでした。よるべない想いを抱えてさまようその姿に、哀しみとおかしみがにじんでいます。
和製タンゴに絶妙に“いなたさ”が配分されたぼくとつとした曲調は作曲家・𠮷田正氏の主要なスタイルのひとつです。いっけん正反対の世界観にも見える昭和30年代を席巻する𠮷田氏の都会派歌謡も、このスタイルに根ざしています。「夜霧の第二国道」「霧子のタンゴ」などの曲では、その“いなたさ”をふくんだリズムと歌詞の都会的な情景が、さらに複雑な味わいと旨みを醸しているような気がします。
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