明治45年に竹久夢二が少女雑誌に詩を発表し、その5年後、作曲家でヴァイオリニストの多忠亮(おおの・ただすけ)が曲を付け、第2回「芸術座音楽会」で初演されました。
翌大正7年に夢二の表紙画で楽譜が出版されると、今で言う“大ヒット曲”となり、一世を風靡したといいます。当時、楽譜は一般市民に音楽を届ける主要なメディアのひとつ。中でもセノオ楽譜は、豊富なラインナップと竹久夢二の美しい表紙絵で人気を博していました。
歌詞はもちろん、叙情性溢れる旋律の美しさは、作曲から100年以上を経た現在も色あせることはありません。比較的軽快にはじまり、最後の「今宵は月も〜」の部分はたっぷりとしたアダージョで朗々とうたいあげる。バイオリニストによる作曲ということがおおいに納得できるようなつくりです。
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