古き良きカントリーミュージックを彷彿とさせる前奏にはじまり、山の雄大さとおおらかさが感じられるような旋律と響きにのせて、切なさをふくんだ過ぎし日への想いがつづられます。
作詞・作曲の米山正夫氏の親友だった歌手・近江俊郎さんの尽力により、NHKラジオ歌謡で発表され大ヒットとなりました。
実はこれ以前に、昭和17年に高峰秀子さんの歌唱を想定して作曲されていたのですが、当時の戦時統制下、米英調の音楽の規制により未発売となっていました。同じく米山氏作曲の「森の水車」も昭和17年に高峰秀子さんの歌唱でレコード化されるも、敵性的な音楽であるという理由で発売禁止。のちに昭和26年、ラジオ歌謡でヒットという経緯をたどっています。
歌詞に出てくる「白馬」は、北アルプス北部、長野県と富山県にまたがる白馬岳(2932m)のこと。春に山肌に見られる雪形が「代掻き馬(しろかきうま)」に見えることが、この山の名前の由来だという説があります(近年異論もあるようです)。
雪形とは、山の岩肌と積雪とが織りなす白と黒の模様のこと。「代掻き」は、水を張った田んぼの土を砕いて平らにならす作業で、それを行う馬のことを「代掻き馬=代馬(しろうま)」と呼ぶそうです。