懐かしい歌をギター生伴奏で

新しい時代の幕開け、若者の希望を高らかに歌う青春讃歌

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青い山脈

 
1949年(昭和24年)藤山一郎・奈良光枝
作詞:西條八十
作曲:服部良一

若く明るい歌声に
雪崩は消える 花も咲く
青い山脈 雪割桜
空の果て 今日も我らの夢を呼ぶ

古い上衣よ さようなら
さみしい夢よ さようなら
青い山脈 バラ色雲へ
憧れの 旅の乙女に鳥もなく

雨にぬれてる 焼けあとの
名もない花も ふりあおぐ
青い山脈 かがやく嶺の
懐かしさ 見れば涙がまたにじむ

父も夢見た 母も見た
旅路の果ての その果ての
青い山脈 みどりの谷へ
旅をゆく 若い我らに鐘が鳴る

 

石坂洋次郎氏の小説『青い山脈』を原作とする同名映画の主題歌です。

物語は地方の町の女学校を舞台に戦後民主主義の目覚めを描いています。教師役を原節子さん、男子高校生役を池部良さん、女学生役を杉葉子さん、若山セツ子さんが演じました。

新しい時代の幕開けを感じさせる歌詞、若者の希望を高らかに歌い上げるメロディーは、青春讃歌として時代をこえて親しまれています。歌詞は映画のストーリーを直接描いたものではありませんが、《古い上衣よさようなら》のフレーズは古い価値観から抜け出し自由な世界に生きようとする若者の姿勢を象徴しているようです。

余談ですが、物語の冒頭で杉葉子さん演じる女学生が「夢淡き東京」(昭和22年、作詞:サトウハチロー 作曲:古関裕而)を口ずさむシーンが印象的です。長調と短調を行き来しながら、荒廃と希望とが同時にあった東京の情景を描くこの歌が、この女学生が物語の中で直面する価値観の変容に揺れる社会を象徴しているようだというのは、もちろんうがち過ぎかもしれませんが。

作曲家の服部良一さんは著書の中で主題歌について、満員電車の中で思いついたメロディーを手帳にハーモニカの略符(音程を数字で表した簡易的なメロディー譜)で書き留めたことや、監督の今井正氏がこの曲を気に入らず、一度書き直したがそれにもダメ出しされ、結局録音の日にも監督は姿を見せなかったエピソードを語っています。

2016年にBS朝日『ザ・ドキュメンタリー』作曲家・服部良一氏の特集で「青い山脈」の異なるメロディーの楽譜がみつかったことがとりあげられました。この楽譜が上記の書き直しバージョンなのか、あるいはもっと以前に書かれた別バージョンなのかはわかりませんが、いずれにしても、国民的な愛唱歌が完成するまでに、作曲家の頭の中にさまざまなメロディーが浮かんでいたことを想像させてくれます。

またこの番組では、服部メロディーが今もなお多くの人々に親しまれている風景として、西荻窪会場でのチャコ&チコの歌声喫茶で「青い山脈」「銀座カンカン娘」「東京ブギウギ」をみんなで歌っている様子が放送されました。

【参考文献】
ぼくの音楽人生』服部良一・著(日本文芸社)

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投稿者:チャコ&チコの歌声喫茶
記事公開日:2023/06/14(水)