1871年に米国で出版された楽譜集に収録されている「Song for the Close of School」という曲が、「仰げば尊し」の原曲であることが、2011年に一橋大学名誉教授の桜井雅人氏によってつきとめられました。
日本の唱歌としては、明治17年発行の『小学唱歌集』第3編に収録されたのが最初。日本語歌詞は大槻文彦・里見義・加部巌夫の三氏の合議で作られたとされます。
大槻文彦氏は日本初の近代的国語辞典『言海』(明治22年刊行)の編纂者として著名な国語学者。
里見義氏は文部省の音楽取調掛の一員として「埴生の宿」や「庭の千草」など、現在まで愛唱される翻訳唱歌の作詞を手掛けています。
加部巌夫氏は宮内省・御歌所に務めた宮中歌人で、唱歌の歌詞選定にも関わっていました。ドイツの童謡を原曲とする唱歌「霞か雲か」(かすみか雲か はた雪か)の日本語歌詞がよく知られています。