「だれかさんが、だれかさんが…」という、わらべうた風のものかなしいリフレインが印象的な秋の童謡です。
「ちいさい秋みつけた」という題名からは、少しずつ秋の気配が感じられる季節を連想しますが、描かれてているのは“秋本番”の情景です。歌詞に出てくるハゼノキの紅葉は11月頃ですので、晩秋と言っていいかもしれません。
歌詞から感じられるのは、なんらかの理由で部屋にこもっている者の視点でしょうか。かすかに聞こえてくる子どもたちの遊ぶ声、少し冷たいすきま風、舞い落ちて視界に入ってきた紅いハゼの葉。
秋を満喫できないやるせなさと、この場所だからこそ感じられた繊細な秋の様相に気づいたよろこびとがまじりあった複雑な感情を示しているように思える歌詞は、人々が秋という季節の中で無意識に抱いているセンチメンタリズムを刺激します。
作詞のサトウハチロー氏は同時期に童謡「秋の子」も書いていて、この歌でも、楽しそうな秋の情景の“外側”にいる子のまなざしを描いているのが印象的です。