懐かしい歌をギター生伴奏で

「港が見える丘」の東辰三(作詞・作曲)と歌手・平野愛子による詩的なブルース

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君待てども

 
1948年(昭和23年)平野愛子
作詞・作曲:東辰三

君待てども 君待てども
まだ来ぬ宵 わびしき宵
窓辺の花 ひとつの花 蒼白きバラ
いとしその面影 香り今は失せぬ
諦めましょう 諦めましょう
わたしはひとり

君待てども 君待てども
まだ来ぬ宵 おぼろの宵
そよふく風 冷たき風 そぞろ身にしむ
待つ人の影なく 花びらは舞い来る
諦めましょう 諦めましょう
わたしはひとり

君待てども 君待てども
まだ来ぬ宵 嘆きの宵
そぼふる雨 つれなき雨 涙にうるむ
待つ人の音なく 刻む雨のしずく
諦めましょう 諦めましょう
わたしはひとり

 

理不尽な別れを嘆くブルースで戦後の人々の心を癒した「港が見える丘」の東辰三(作詞・作曲)と歌手・平野愛子による同時期の傑作です。

「港が〜」と同じモチーフの曲といえますが、「君待てども」の方が哀しみの色合いが強く感じられるのは、文語調で綴られる淡々した詩的なつぶやきによるところかもしれません。

《君待てども 君待てども》《あきらめましょう あきらめましょう》と繰り返されるフレーズは言葉とは裏腹にあきらめられない想いのようでもあり、同時にどこか安らぎも感じさせます。

編曲を担当した佐野鋤(さの・たすく)氏は昭和初期から東京のジャズ界で活躍した管楽器(サックス/クラリネット等)プレイヤーです。「響友会」と呼ばれる音楽家同士の勉強会のメンバーとして作曲家・服部良一氏との親交も深く、ジャズや流行歌の作編曲で活躍しました。

昭和30年代からはTBSの歌謡番組「ロッテ歌のアルバム」の編曲と指揮を長年にわたって担当しました。佐野氏のジャズ・ブラスアレンジが本曲のたいへん重要な味わいとなっていることもまちがいありません。


投稿者:チャコ&チコの歌声喫茶
記事公開日:2024/10/26(土)