川口松太郎氏の小説を原作とする、田中絹代さん、上原謙さん主演の松竹映画『愛染かつら』(監督:野村浩将)の主題歌として、映画も曲も空前の大ヒットとなりました。
前年にデビューした霧島昇さんは本作の大ヒットを皮切りに「一杯のコーヒーから」「純情二重奏」「誰か故郷を想わざる」「蘇州夜曲」など第一線の人気歌手に。また、すでに人気歌手だったミス・コロムビアさんと本作で共唱したことをきっかけに二人は結婚、おしどり夫婦として知られました。
作曲の万城目正(まんじょうめ・ただし)氏は東洋音楽学校出身で、作曲家・佐々木俊一氏(「新雪」「高原の駅よさようなら」など)とは同級生。卒業後は共に浅草の映画館での演奏を経て、佐々木氏はビクターへ、万城目氏は松竹の音楽部に入社しました。松竹/コロムビアで「リンゴの唄」「悲しき口笛」「東京キッド」「この世の花」など数々の映画主題歌を手がけ、それらは“万城目メロディー”と呼ばれて親しまれました。
【参考文献】
『なつめろの人々』藤浦洸・著(読売新聞社)
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