むせぶようなギターフレーズが泣かせる“古賀メロディー”の代表的な一曲。
この歌がヒットした頃に、まさに「伊豆の山々」に暮らしていたという配信視聴者のかたからいただいたコメントを以下に紹介させていただきます。
昭和25年頃、私は親、姉弟と高祖母と伊豆の中狩野村(なかかのむら)という村で過ごしていました。その頃、私は針仕事をしている高祖母のそばで、ままごとの相手をしてもらったり、お手玉、折り紙、歌を教えてもらいながら過ごしていました。
その高祖母が亡くなった時、東京から駆け付けた親戚の人たちが、外を眺めながら「これが“伊豆の山々”ですか」とか「“伊豆の山々”だからよく見ておきましょう」と言って軽く笑っているのを「“いずのやまやま”ってなんなの?」と不思議に思ってきいていました。
「湯の町エレジー」が歌われていた頃私は「伊豆の山々」の中で暮らしていたのを後でわかりました。
その村は、高祖母に教えてもらった歌の様に、菜の花やレンゲ畑があり、小川が流れ、メダカが泳ぎ、ホタルが飛んでいる所でした。その景色と高祖母の思い出が、童謡、愛唱歌、懐メロ大好きな私のもとになっているようです。
誰もが歌い出しの歌詞のフレーズを知っている、この歌がいかに人口に膾炙していたのかが伝わってくるようなエピソードです。
ところで「伊豆の山かげ」というフレーズが、昭和38年に西田佐知子さんが歌った「エリカの花散るとき」に登場します。他にも「踊子」「天城越え」など、伊豆はたびたび“秘めた想い”の歌の舞台となっています。